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奥穂高岳・扇沢BCスキー!!(登攀編)

人には、越えなければイケない壁がある!・・・。
人には、守らなければいけない約束がある!・・・。
人には、無理しなければならない時がある!・・・。
人には、達成させなければイケない夢がある!!

そして、僕達の前には「奥穂高岳ワンデイ」があった!!!
・・・・・・・・・・・・・。


僕が、バックカントリースキーを初めて経験した時から、
いや、この山を見た時から、この奥穂高岳のド真ん中を
滑る自分を、ず~~~っと憧れて、夢見てきたのだった・・・。
ここ数年秘かに狙っていた「奥穂高岳ワンデイBCスキー」・・・・。

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しかし、奥穂高岳の真ん中の「扇沢」を滑るのには、かなりの条件が
揃わないと滑れないのだ!・・・。「完璧な晴れ!」という気象条件は
もちろん、斜面の雪質、雪崩の危険性、パートナーとの条件など、
その全てが揃わないと挑戦すら出来ないのだった・・・。

去年から仲間と何回かチャンスを伺がっていたのだが、天気が
悪かったりで、ここまで挑戦する事ができていなかったのだった・・・。

しかし、今年は山に雪が少ないのだが、この4月にパートナーの
皆の休みが揃った晴れの日があったので、一度突っ込んで見よう!
という事になり、奥穂高岳BCスキーに行ってみたのだった~!!


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朝というか、まだ真っ暗な深夜2:00にスプリングバンクに集合。
そこから少しアクシデントを対処して、3:30に暗闇の釜トンネル
からスタートだ!・・・。 まだ上高地がオープンしていないので、
上高地ターミナルまで自転車で、激坂の釜トンネルに突っ込んで
行ったのであった~・・・。

今回のメンバーも、最近のチーム・スプリングバンクの固定メンバー
になってきている、SZ 君と、百戦錬磨のガイドのNJさんだ!・・・。


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上高地にも全く雪は無く、例年なら岳沢登山口からスキーにシール
で登り始める事が出来るのだが、ここまで来ても全く雪が無いので、
今年はスキー道具一式全てを担いで、登山道を登って行かなければ
ならなかった・・・。 そして、岳沢に来ても、

岳沢にも全く雪が無い!!

しかし、激重のスキー道具一式担いでいる僕たちの「肩」が限界に近く
なってきていたので、このアミダくじのようにかろうじて残っている
残雪を、スキーにシールで縫うようにして進んでいったのであった・・・。


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スキーにシールを貼って岳沢を登って行く。やはり僕達スキーヤーは、
これだよ!・・・と、みんなで肩の荷物が軽くなったのを喜んでいた・・・。

この辺りで5:30頃。バックの西穂高山頂に、朝日が当り始める・・・。
真っ暗な闇から薄く明るくなっていく、朝日が上がる前の蒼い世界。
マイナス8℃の、とても荘厳な雰囲気の岳沢だった。


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雪に埋まっていない岳沢小屋を越えてから、南稜の取り付きで装備を
アイゼン&ダブルアックスに持ち替えて、またスキー一式を全部担いで
行った・・・。ここからは雪と岩のクライミングの世界だ!! もちろん、
ハーネスにロープも使ってのフル装備である!・・・。


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出だしの2ヵ所の凍った滝の部分を越えていく。その後は南稜の
「トリコニー」と呼ばれる、岩峰が3つ横に並んだ箇所を目指して
進んでいくのである・・・。スキー一式担いでのアイスクライミング。
非常にレアな体験だった~。


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出だしの凍った滝を越えた後は、僕がリードでアイゼンを蹴り込んで
アイスアックスを2本差し込むという作業をを延々と繰り返して進んで
行った・・・。情熱だけを燃やしてチカラに変えて、雪の超急斜面を登攀
していったのだった・・・。


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登攀していくと、さらに雪の斜面はどんどん急になっていく!!!
こんな画像のような、約65°から~70°ぐらいのセクションもあった。
しかし、ここまで来てビビッても、どうしょうもないのである!・・・。
行くしかない!!


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そしたら今度は、岩のクライミングになってしまったのであった~!!
穂高連峰のド真ん中で、スキー道具一式を担ぎながら、しかも足元は
スキーブーツにアイゼンで!!・・・、のクライミングだった~!・・・。
奥穂高岳・南稜のクライミングルートでは、ここが核心らしい!!・・・。
もちろん!このセクションは、百戦錬磨のガイドNJさんにリードして
頂いたのであった~!!


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NJさんをビレイする僕・・・。ピナクルテラスは久々の平坦だったのだが、
景色を眺めてゆっくりとコーヒーとはいかない感じだったのであった・・・。


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その後、僕達もフォローで何とか核心の岩場をミックスクライミング
で切り抜けていく・・・。そして核心を抜けて登って行くと、また雪の
リッジをいくつもいくつも延々と登って行ったのであった・・・。

バックには、4年前に滑った「明神岳1峰~2峰」から流れるラインが
美しく見えていたのであった~!!・・・。


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時には、こんな、ピッケルを差し込めば崩れてしまいそうに脆そうな
ナイフリッジに身体を預けて先へと進んでいったり・・・、


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また時には、こんな、両側がスッパリと切れ堕ちている狭いリッジを
渡っていったりもあった・・・。


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岩場のコーナーも、アイゼンにスキーブーツでこなしていく!・・・。
「奥穂高岳・南稜」クライミングは、僕のバックカントリースキーの
今までの経験で間違いなく一番の技術と経験そしてモチベーションが
必要な山行だったのであった~!!・・・。


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テクニカルなミックスクライミングのセクションを抜けて、また広い
雪の斜面に出た・・・。 この後も、少しでも滑ったら終わり!という
超急斜面を、ダブルアックスを差込みながら一歩一歩と確実に、ただ
上へと目指していったのであった。 そして、標高3000mを越ると
風が強くなってきて、気温もまたグッと下がってきた・・・。都会では
20℃を越える晴れのこの日でも、ここは「奥穂高岳」なのだ!!・・・。
マイナス5℃以下で雪面に刺すアックスを持つ手が凍り付いてきた。

それでも、僕たちは止まらない!!
あの奥穂高岳の扇沢を滑走して歓喜に咆哮している自分達を
イメージしながら、最後の斜面を登っていったのであった・・・。


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そして!ついに!!、「南稜の頭」に出たのであったぁ~!!!
ここはもう「吊り尾根」の上なのである。 バックには「前穂高岳」や
「明神岳」が、輝いて圧倒的な大迫力で見えていた!! ここからは
奥穂高岳の山頂の祠を見ながら、そしてここまでの僕たちの登攀を
反芻しながら、自分達のクライミングに浸りながら、一歩ずつ確実
に進んでいったのであった~~。


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そして!!、釜トンネルをスタートして、全てヒューマンパワーで
自転車と、スキーと、クライミングで、奥穂高岳・南稜を登りきり!、
10時間と少しで、奥穂高岳山頂に登頂成功したのであった~!!
今回もヤリました!!

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しかし!、僕たちの挑戦は南稜の登攀だけで終わりでは無いのだ!・・・。
僕達が憧れてきた、上高地から見えるあの「奥穂高・扇沢」へのスキー滑降が
待っているのだ!!・・・。この「奥穂高岳」の山頂に登頂した僕たちだったが、
バックカントリースキーの行程はまだ半分なのだ・・・。なので、僕達の心は、
これから始まるスキー滑降への緊張感でいっぱいだったのだ・・・。登頂できた
嬉しさと、これから始まる扇沢スキー滑降の緊張感で、半分半分な、何だか
デリケートな気分なのであった・・・。


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今回の4月の奥穂高岳山頂は快晴だったので、想像を超えた
素晴しい景色が広がっていたのであった!! もちろんバック
には「槍ヶ岳」が遠くに見えて、隣には「前穂高岳」が圧倒的な
迫力で見えて、そして雪をまとった「ジャンダルム」があった!!
岩と雪の、厳しければ厳しいほど美しい世界があった!!

ジャンダルム!!・・・、
扇沢スキー滑走編へと続く!!



by springbk2 | 2016-04-17 07:08 | アウトドア | Comments(0)