鹿島槍・カクネ里バックカントリースキー!!(ご来光編)

「夢」というのは、残酷なモノである・・・。
ひとたびそれを見てしまった瞬間から、
夢追い人は、それを手に入れるまで追いかけるしかないのだ。
「夢」に取り付かれてしまうのである・・・。

そして僕も、その美しき山の容姿を見た瞬間から、
自分の体力と技術と経験で、その山を登って滑って見たいと
いう欲望と衝動が渦巻く感覚に、囚われてしまったのだった。

今回、その夢に囚われた僕が、バックカントリースキーで
登って滑りたい山・・・、それは、かくも厳しくも美しい、
鹿島槍北壁なのだった!!

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数年前に五竜・遠見尾根から見た、この素晴しき鹿島槍北壁の
荘厳な美しさ!!・・・。行ってみたい欲望が抑えられなかった
のであった!!・・・。

キッカケは「Rock & Snow、No,66、Winter Issue」だった。
そこに、山岳滑降の現在形として、この鹿島槍ヶ岳北壁での
スキー滑走に挑戦した記事が載っていた。 初滑降は2002年、
故・新井裕己さんがこの画像のド真ん中を滑り降りたのだった。
しかし、新井さんのラインは真ん中の岩壁を、スキーを担いで
ロープでクライムダウンされているので、山頂からボトムまで
スキーを脱がないダイレクト滑走ではないので議論があるのだ。
しかし、それ以外はスキー滑降されていないのだった!!・・・。
そして「Rock & Snow、No,66」では、加藤直之、山木匡浩、
広田勇介さんの3人で挑戦したが、雪の状態が悪く屈曲点まで
で引き返したと言う記事だった・・・。

まだ、誰もそのラインをスキーで登って滑っていない!と言う
事への挑戦、そしてあの美しき鹿島槍北壁の魅力が、僕の心を
鷲掴みにしてしまっていた。なので2015シーズンから下見に
行ったりした・・・。2016年はアラスカへ1ヶ月間遠征に行った
ので、鹿島槍北壁に挑戦は出来ていなかった・・・。そして今回
2017シーズン、僕達はこの鹿島槍北壁にターゲットを絞って、
1月から何回か下見&トライを繰り返してきていた・・・。そして
3月も終わりに近づく某日、僕たちはついに!鹿島槍北壁へと
向かったのであった・・・。


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いろいろ試した結果、僕達がとったルートは、鹿島槍ヶ岳への
入り口である大谷原から~天狗尾根経由~天狗の鼻~カクネ里
へと下り、カクネ里から~鹿島槍北壁~山頂へと辿るルートだ。

僕達には数日間も山にいる時間が無く、かつコンディションも
見極められないので、いつも通りワンデイでのスピード登攀だ。
なので、「天狗の鼻」で朝日が上がって明るくなったらスグに
スキーで滑ってカクネ里へ下りたいので、大谷原を夜の10:30
に出発した!!・・・。大谷原の駐車場から真っ暗闇な雪の中を
ザクザクという足音と共にただ延々と歩いていった・・・。この
時は、今回もし登って滑れたらどれだけ嬉しいのだろうか?!
という興奮と、どれだけ厳しく危険なBCツアーになるのか?!
という不安と、生きて帰ってくることが大切だ!!と自分に
言い聞かせながら、心の中は表現できない感情に押し流されて
しまいそうな感じだったのであった・・・。


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大谷原駐車場から約1時間ほどで取水口の施設に到着した・・・。
前回は真っ暗だったのだが、今回は煌々と照明が付いていた!
何だか映画の中の1シーンのような雰囲気で、宇宙人がいて
何か人知られず怪しい工場建設をしている、見てはイケない
モノを見てしまったような雰囲気だった・・・。

この先の左側から流れてくる「アラ沢」の分岐から、尾根上
へと上がって行った・・・。ここからいきなりの急登になった。


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夜の登攀は、真っ暗闇の中を延々と長い時間登るので、実際に
自分が何処にいるのか全く分からない時がある。今回もまさに
そのような感じだった。 鹿島槍ヶ岳・天狗尾根ルートの登攀
には、「第一クーロワール」と「第二クーロワール」という、
急登のセクションがあるのだが、それがどこなのか、今登って
いる箇所がクーロワールなのか?分からなかったのだった・・・。
それでも何回かは、素晴らしく急な雪上の登攀だった。


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今回もパートナーは、アラスカも一緒に行ったNJさんである!
互いに信頼出来る彼とのクライム&ライドは、いつも素晴しい
のだ!!

真っ暗闇な真夜中の登攀なので、少しずつGPSでルート確認を
しながら登っていったのだった。


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真っ暗な闇夜の登攀を6時間半もこなして、やっと「天狗の鼻」
に5:00過ぎに到着した!! ここまでは順調にきていたのだ。
ここまででも悪戦苦闘したが、今回のツアーはここからが本番
なのである!!・・・。やっとスタート地点に立てた気がしていた。
バックには、鹿島槍ヶ岳北峰~北壁が圧倒的な存在感で大きく
聳えて見えたのであった!!


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「天狗の鼻」にて、ツェルトを被りダウンを着込んで休憩の
ビバークを約1時間弱ほどした。 このツアーで唯一の休憩に
なったのだった・・・。 前回は尾根上に出たら爆風で敗退した
のだが、今回も風は強いけど許容範囲だった・・・。これなら
行けるだろうか?!と、コンディションの見極めと判断を
自分の中で考えながら食べ物を口の中に詰め込んでいった・・・。
この時の外はマイナス5℃だが、疲労と徹夜の寝不足でスグに
眠気がきてしまう・・・。


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5:30すぎになると東の空が赤くなってきて、空全体も明るく
なってきた・・・。ご来光が上がって、山全体が明るくなったら
スグにスキー滑降でカクネ里へと下りる予定にしていたので、
寒く凍えそうだけどスキーの用意をしていった・・・。僕達も
これまでいろんな山に登って滑ってきたが、この時は興奮と
不安がおさまらない感じなのであった・・・。


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そして約6:00頃、真っ赤なご来光が上がってきたのだった!!
明るくなったらすぐカクネ里へと滑り込む予定にしていたので
ご来光の写真は撮影しないと思っていたのだが、あまりに美しい
真っ赤なご来光だったので、写真を撮らないワケにはいかなかった
のであった!!・・・。


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ご来光が上がる直前の「五竜岳」(右)も、この天狗の鼻から
見ると、凄まじい程の大迫力で大きく見えていたのだった!!
美しすぎるほどの素晴しい大迫力の、感動的パノラマだった!!


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そして、これから向かう鹿島槍ヶ岳北壁も、本当に真っ赤に
染まっていった!! 冬山でのご来光の色合いは、山全体が
真っ赤に染まるので、本当に特別な美しすぎる瞬間なのだ!!



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そして、スキー滑降の用意をして、いよいよカクネ里へと
滑り降りる!!・・・。凍えながらビバークしていて冷えた
背中に「ご来光」が当ると、生きている証である暖かさを
感じる。僕は、もう一度心の中で「生きて還る!」と言い
聞かせて、ブーツのバックルを強く締めた・・・。

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いよいよカクネ里へと
ドロップ・イン!!!

その②へ、続く~!!




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Commented by MIZUNO at 2017-04-04 11:08 x
素晴らしい、そして羨ましい!
Commented by springbk2 at 2017-04-05 09:04
MIZUNOさん、ありがとうございます~。
敗退記なので、ダメダメでした・・・。でも
また頑張りたいと思います~。
by springbk2 | 2017-04-03 07:17 | アウトドア | Comments(2)