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鹿島槍・カクネ里バックカントリースキー!!(脱出編)

もしかしたら鹿島槍ヶ岳北壁を、僕たちチーム・スプリングバンクで
初滑降出来るかも知れない?と思っていたのだが、そんなに簡単では
無かった・・・。甘かったのだ!!・・・・。
 
今回は雪のコンディションが非常に難しく、そして日中はかなり気温が
上がったので雪崩の連発が起きて、結局僕たちも、加藤直之、山木匡浩、
広田勇介さん達3人とほぼ同じポイントまでしか行く事が出来なかった。
今回も敗退だ!!・・・。

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敗退が決まっても、カクネ里からは簡単には帰れないのである!・・・。
四方が山に囲まれている「カクネ里」から脱出するには、もう一度
登り返さなければならないのである・・・。この時点で、時間は10:40。
もうここまでで約12時間行動しっぱなしなのである・・・。ヨレヨレの
僕たちは、もう一回帰りの登攀に集中し直して、ヨロヨロと60°程の
斜面に取り付いて行った・・・。

頭上には「アラ沢の頭」が青い空に聳えていて、僕たちの沈んだ心
とは裏腹に、とても美しかった!・・・。でも、あそこまで登り返さな
ければイケないのだった!!・・・。なので、見上げると山は美しいの
だが、僕たちの心はさらに重さを増してしまうのであった・・・。


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永遠とも思える時間の中、ただひたすらピッケルを差し込んで、
アイゼンを蹴り込むのを繰り返すマシーンのようだった。
所どころ出てくるトラバースセクションがメッチャ怖かった・・・。


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それでも何とか、約2時間ほどで「天狗の鼻」の少し上部の
尾根に到着した。もう、足も太腿も手も肩も、全てが痛くて
ダルくて疲労困憊だが、ここからの「アラ沢」スキー滑降が
待っているのである!!・・・。

バックには最後の「鹿島槍北壁」が見えていた・・・。この辺り
から天候が急変してきて、暗い雲が掛かってきて一気に白く
なっていったのであった! 僕達を嘲笑うかのようだった・・・。


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それでも、カクネ里から約2時間ほどもかかったけど、やっと
天狗尾根の稜線に出ることが出来た!! この日たぶんラスト
になるであろうドロップ・ポイントに到着した~!! これで
もう登り返さなくてもイイのだという開放感にも似た安堵感が
全身を貫いていた・・・。
長かった!!・・・、
カクネ里からは、脱出だけでも本当にタイヘンなのであった!・・・。


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そして「アラ沢」へと
渾身のドロップイン!!
目をつぶり、大きく深呼吸をして、意識を滑りに集中させて、
凄まじいほど圧倒的な迫力がある「アラ沢の頭」をバックに、
滑り込んだ・・・。

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しかし!、ノートラックに見える斜面は南斜面なので、太陽の
影響を思いっきり受けていて、超クラストしていたのだった!!
バリバリで踏み抜くとザクザクのメッチャ難しい斜面!!・・・、
なので、スキーをフォールラインに向けて思いっきり滑る事は
出来なかったのであった・・・。


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そして、NJさんも「アラ沢」へとドロップイン!! NJさんが
滑り込んだ時には、一気に暗く白い雲が山を覆ってきていたので、
斜面が見づらい感じだったと思うのだが、それでもテレマークを
決めて滑って行かれたのであった~。

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そして、すこぶるアルパインチックな「アラ沢の頭」をバックに、
クラストの雪ブロックを裂氷船のように豪快に飛ばして、滑って
行かれたのであった~!! 


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そして「アラ沢」出合いに合流してからは、雪崩のデブリだらけの
部分は横滑りで何とか下り、デブリの無いキレイな一枚バーンの所は
これまでのフラストレーションを吐き出すように、思い切って大きく
ターンをキメて滑っていった!・・・。


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そして最後に「アラ沢」下部で振り向いて山を見上げると、また
厳しく美しい「アラ沢の頭」が、青い空に突き上げるようにして
聳えていたのだった!!・・・。

ここまで来て、やっと「生きて還れる」という実感が湧いてきて、
同時に敗退したという悔しさと情けなさが、水面の墨汁のように
心の中にジンワリと広がっていき、そしてまた雪のコンディション
が良ければもしかしたら登れていたかも?と言う可能性を感じて、
何とも言えないような全て出し切ったという満足感のような感情が、
湧き上がってきていたのだった・・・。

そして!、またいつか・・・、僕たちの経験と体力と技術、そして
全てのコンディションが揃った時に、また挑戦しようと思った!
また来よう!、と誓ったのだった・・・。


鹿島槍・カクネ里バックカントリースキー!!(脱出編)_a0353718_12530160.jpg
大川沢の出合いから、大谷原・駐車場までは、融けてグザグザに
なった雪の上を、またフラフラになりながら1時間以上も歩いて
帰って行ったのであった・・・。 全工程で16時間のツアーだった。


より困難を求めようとする登山の在り方は、アルピニズムの本質。
それを一緒に共感出来る、そして信頼出来る経験と技術と体力の
ある素晴しき仲間が居る事! そしてバックカントリースキーに
一緒に行けるという事は、何と素晴しい事なのだろう!と思うの
だった。そんな素晴しき仲間と、挑戦したいと思わせてくれる程
美しき大自然に感謝せずにはいられない・・・。今回の経験をまた
積み上げて、また次の機会、次の課題へと挑戦していくのだ・・・。


そんな「カフェ・スプリングバンク」をこれからもよろしくお願い
します~~。乗鞍高原に来たらお立ち寄り下さい~。ご来店お待ち
しています~~!!





by springbk2 | 2017-04-05 07:45 | アウトドア | Comments(0)