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鹿島槍・カクネ里バックカントリースキー!!(登攀編)

スキーアルピニズムを追及する僕たちチーム・スプリングバンクが
1シーズンに数回は自分の限界に挑戦する、死に物狂いでなければ
辿り着けない、ビッグマウンテンBCスキー・・・。2017シーズンは
ここ数年下見&トライをして暖めてきた、鹿島槍北壁・カクネ里
なのだった・・・。 そして、ついに!、
カクネ里に降り立つ!!

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朝日が上がって明るくなるのを待ってから、「天狗の鼻」から
スキーでドロップ・イン!! 朝日で黄金色に光り輝いている
カクネ里へ降り立っただけでも、なぜか少し感動していた・・・。
しかし、今回のツアーはここからが本番なのである!! 


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そしてNJさんも滑り降りてきた・・・。ここの斜面は北斜面なので
この時はまだドライなパウダーで、雪崩るか?が少し怖かったが
テレマークターンがイイ感じで決まっていた!

カクネ里に降り立った時の時間は朝の6:20頃。今日はまだまだ
これからで、鹿島槍ヶ岳山頂まで登る時間はタップリとある!。
この時は「これはイケるのでは?!」と言う思いが強かった・・・。


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朝日を浴びるカクネ里をスキーにシールを付けて登り出す・・・。
スキーにシールでなくてツボ足だと太腿まで埋まって進まない!
広大なカクネ里の真ん中でも、雪はとても深かったのだ!・・・。
カクネ里は北斜面なのは分かっているのだが、ここ数日間には
それほど降雪は無かったのに、これほど深い雪なのはちょっと
驚きであった・・・。 


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そして、だんだんとカクネ里の雪質が僕達に牙を剥いてきた!
上部に上がっていくと雪の斜面の表面は硬くなってきてシール
が効かなくなってきたので、アイゼンに切り替えたのだが・・・、
アイゼンのツボ足になると、今度は深くて進まなくなってきた
のであった・・・。


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この登攀は非常にツラい!! 
スキーもアイゼンも、どちらも四苦八苦の悪戦苦闘状態!!
何度も切り替えたりしたのだが、登り難い事この上ない!!

それでも僕達は、「まだ時間はタップリとあるんだ!・・・」と
自分達に言い聞かせながら、半ば少し焦りながら、一歩ずつ
少しずつカクネ里最奥の屈曲点を目指して登っていったので
あった・・・。


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オマケに、アイゼンが雪ダンゴ状態になってきて激重に!!
タダでさえここまで9時間ほど雪山で行動してきているので
太腿がもう乳酸溜まりまくりのダル過ぎる状態になっていた
のだが、それに追い討ちをかけるように太腿まで埋まる程の
ズボズボ埋まる状態!!・・・。ダンゴのアイゼンが重過ぎて
足が上がらなくなってきていたのであった~・・・。 何度も
上を見上げても、一向に近づいて来ない・・・。 この状態に
僕は半ば発狂して叫びたくなるほど、どうしょうもない状態
に陥ってきていたのであった~・・・。


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そして、やっとの事で洞窟尾根に入って行った、その時!、
突然!、上部の雪壁から、
ゴゴゴゴオォォ~~!!
ガラガラガラぁ~~!!
とブロック雪崩が起きて、僕達の上から流れてきた!!!
レンガやバスケットボールほどもある大きさの雪の塊が、
ヘルメットや胸をドカドカとぶつかって来たのであった!
僕たちは、「ヤバイっ!!」と思いながらも、太腿まで
埋まっている状態では避けられなかった・・・。

その後も、数分おきにブロック雪崩は起きて、凄まじい
轟音を立てながら、僕達の横を流れていっていた!!・・・。
この日は気温が上がった日で、北壁の雪が緩んで崩れて
きていて、陽が上がるにつれて、いくらでも雪崩る状態
だったのだ!!・・・。


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僕達も、今回は本気でちょっと命の危険を感じたほどだった・・・。
なので、疲れ切った太腿でズボズボの雪の中を、出来るだけ速く、
なるべく安全な岩洞のくぼみに逃げ込んでいったのであった・・・。

この北壁まであと50mほどの時点で、時間は9:30程・・・。
もう少しで手が届きそうな北壁の屈曲点を見上げて考える・・・。
それでも、絶え間なく雪崩が起きているルンゼの中で30分ほど
ブロック雪崩が落ち着くのを待っていた・・・。
いや、本当は考えるまでもなかったのだった・・・。

雪崩はこの時も、いくらでも落ちてきていた!・・・。
僕たちが登ろうとしている屈曲点のルンゼからもドカドカと
思いっきり雪崩れてきていたのだった!!・・・。
そこへ突っ込む、命のロシアンルーレットは出来なかった・・・。
僕たちは共に、雪崩の恐怖、命の危険を感じていたのだった。

敗退がここで決まった・・・。



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敗退が決まれば、出来るだけ早くこの地点を脱出したかった・・・。
絶え間なく雪崩れてガガガガァォォ~~!!と轟音が響き渡る
この場所を切り抜けたかった・・・。なるべく早くスキー滑走の
用意をして、シールも丸めずにバックパックに詰め込んで、
もう一度北壁の上部を仰ぎ見てから・・・、
敗退のドロップイン・・・。


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雪崩のデブリが広がるカクネ里の広大な急斜面を滑って行く。
コケないように確実にターンをこなして高度を下げていった。
滑っている中でも、バックではブロック雪崩の轟音が大きく
鳴り響いていたので、何度も後ろを振り返って確認しながら
滑っていった・・・。


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夢にまで見た、カクネ里スキー滑降・・・。
空は快晴の青空で、山の景色は最高に美しい!・・・。
しかし、心の中は未だに自分に対しての葛藤が渦巻いていた。

自分では分かっている。あれ以上のリスクは冒せない・・・。
しかし、僕たちはただビビッていただけじゃないのか?!
他の誰かだったら突っ込んでいたのだろうか?!・・・。

それでも、ターンを決めるたびに、純粋に生きている感覚が
少しずつ頭の中に蘇ってきて、滑りに集中していったのだった。
生きていれば、また挑戦出来る。 また来ようと思った・・・。


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カクネ里上部のデブリ地帯を抜けると、NJさんのテレマーク
ターンがキレイに決まっていった。この瞬間この場所に居て、
美しすぎる鹿島槍北壁をバックにテレマークターンを決めて
滑って行くNJさんのライディングに、感動していた! この
特別過ぎる瞬間!、これぞ、素晴しきスキーアルピニズムの
世界だと思った・・・。


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そして、カクネ里下部では、登るのに非常に苦労したほどの
パウダースノーを堪能して滑って行ったのであった~~!!
カクネ里の超急斜面にも関わらず、NJさんのテレマークターン
は崩れないのであった~。


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そして、何とか無事に、カクネ里に降り立った地点まで帰って
来れたのであった・・・。ここまで戻ってきて、やっと少し安心
出来たのであった・・・。

そしてもう一度、北壁を仰ぎ、自分たちが居た北壁取り付きの
ポイントを見た。これが果たして自分達の限界だったのか?と
いう疑問と、敗退の悔しさと、今生きている安堵感が、同時に
心の中いっぱいにジンワリと広がっていたのであった・・・。

しかし、まだ終わらない!!
帰るためには天狗尾根まで登り返して、その後も「アラ沢」を
滑って帰らなければならないのであった!!・・・。 この時点で
まだ午前中の10:40頃!・・・。果たしてあと何時間の悪戦苦闘で
駐車場へ帰り着くことが出来るのだろうか?! 気の遠くなる
ほど遠くに感じるが、帰らなければならない!!・・・。

もう1回、続く!!




by springbk2 | 2017-04-04 07:53 | アウトドア | Comments(0)