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剱岳バックカントリースキー!!(登攀篇)



人生の奥底に引っかかったままの懸案・・・。
あの日に置き去りにされたままの夢・・・。
未だ触れてこなかったスタンダードでありクラッシック・・・。


僕達チーム・スプリングバンクは、約15年間ほど、乗鞍岳を中心に
穂高連峰から槍ヶ岳、白馬周辺などの長野県側の北アルプス界隈で
山をスキーで滑ってきた・・・。スティープラインやクライム&ライド、
死に物狂いでなければ辿り着けないワンデイもいろいろやってきた。
しかし、まだまだ辿り着いていない、スキー滑走出来ていない山が
まだまだあるのだ・・・。そんな、スキーアルピニズムを追求する者
にとってのビッグマウンテン、スタンダードでありクラッシックと
言われる山が一つ、立山の奥に聳えているのであった!!・・・。
岩と雪の殿堂、試練と憧れの山、
「剱岳」なのである!!

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この「剱岳」には、山を滑るバックカントリースキーヤーの中でも
スティープラインを追求してクライム&ライドを実践する人達の
中では、滑っておかなければならないと言われるスタンダードで
ありクラッシックなラインがあるのだ。山頂から右下の直下へと
ズドンッと落ちる「大脱走ルンゼ」と言われるラインである!・・・。
この画像からは想像も出来ない、まさに「壁」のような斜面を滑る
ラインがあるのだ!!・・・。

しかし、富山県立山の奥に位置する「剱岳」は、乗鞍高原に住んで
いる僕たちにとっては、車で3時間掛けて移動し、アルペンルート
に乗ってアプローチしなければならない遠い存在なのであった・・・。
なので、僕達もここ数年秘かに狙っていたのだが、自分達の休みに
悪天候だったり、その年の残雪が少なくてルンゼ内の雪が繋がって
いなかったりとか、僕達はここまで1度も挑戦出来ていなかったの
であった・・・。

しかし今回のゴールデンウィーク明けのカフェ・スプリングバンク
の連休はバッチリ晴れの天気予報だったので、スティープライン
ハンターであるAM君と一緒に、この「剱岳」へと挑戦しに行って
みたのであった~~。


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前泊した「剱御前小舎」で、まだ真っ暗な早朝3:00に起床。全ての
ギアをセットして用意をして、朝ご飯に用意をしてもらった弁当
のおにぎりを全部胃の中へと押し込んで、うっすらと明るくなり
斜面が見えてくるのを待つ・・・。

そして、「剱岳」のスカイラインが早朝の濃紺色の空に見えてきた
4:10頃に、平蔵谷出合へと「剱御前小舎」をスタートしていったの
であった~・・・。


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薄明るくはなっていたが、斜面の凹凸はまだ見えない中、僕達は
ヘッドライトで剱沢を平蔵谷出合いまでスキーで滑っていった・・・。
暗くて斜面が見えない中なので、スピードは出せない・・・。横滑り
で少しずつ標高を下げて、平蔵谷出合を目指していったのであった。


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それでも20分ほどのスキー滑走で、登攀する「平蔵谷出合」へと
到着した。ここでスキーモードから、登攀モードへと変更する。
足元はスキー板からアイゼン変え、インサレーションウェアも
脱いでスリングやカラビナとプロテクションをハーネスに付け、
いよいよここから登攀開始だ!・・・。


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平蔵谷のボトムは、雪崩デブリの跡でボッコボコになっていた・・・。
雪の上にアイゼンのツボ足で登って行くのだが、デブリ跡は硬く、
僅かに残る新雪の所は柔らかすぎてズボッと膝まで埋まる雪質で
下部の辺りではちょっと苦労して、なかなか進まなかった・・・。
この辺りからやっと、夜明けのオレンジ色の太陽の光りが射して
来たのであった・・・。


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それでも、1時間ちょっとでインディアン・クーロワールの出合へと
辿り着く事が出来た・・・。ここからは、さらに斜度が急になっていく
ので、お互いをロープアップして、手元はダブルアックスを持って、
いよいよ!、試練と憧れの「大脱走ルンゼ」へと入っていった!・・・。
僕たちの頭の上には、インディアンの名前の由来の塔のような岩が
象徴的に、途方も無くカッコ良く、紺碧の空へと聳えていた。

通常なら、右側の「インディアン・クーロワール」が登攀ラインなの
だが、今シーズンは全層のクラックと雪崩の跡が激しくて、滑走の
ラインである直上する「大脱走ルンゼ」の方が安全そうに見えたので
僕たちは直上することにしたのであった~・・・。


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一番狭いルンゼ内のノドの部分の登攀・・・。ここでも斜度は50°程も
あっただろうか?!・・・。このルンゼ内の足元の雪は、硬く締まって
いてアイゼンのツメが雪に良く利いてくれて登りやすかったのだが、
硬い分一つミスをすれば→即死亡となるために、緊張感がハンパ無い
感じの連続なのであった~。僕はず~っと怖かったのだが、AM君は
念願であり憧れであった剱岳の、それもルンゼ登攀なので、とても
楽しそうなのであった!!・・・。さすがはスティープラインハンター
である・・・。


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何度も何度もアイゼンを蹴り込んで、アックスを差し込む作業を
繰り返し登攀していくと、ようやくインディアンの岩塔の上へと
来てしまった・・・。 大脱走ルンゼ内は、もし雪崩や落石が落ちて
きてもなるべく当らないように脇を登って、ルンゼを脱出しても
雪崩ラインである真ん中を少し外して登っていったのだが、もし
僕たちがルンゼ内にいる時に本当に大きな雪崩が起きたら、一発
アウトな状況なのである・・・。もちろん、リスクマネジメントは
考えるのだが、自然のチカラには逆らえないのである・・・。


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ルンゼを抜けて源次郎尾根の稜線に出ると、上部は広くなる・・・。
しかし、以前斜度は厳しくてこの辺りでも約45~50°程の斜度で
なかなかバックパックを下ろして休憩なんて出来ない・・・。でも
ここまで来ると、ようやく「剱岳」の山頂がロックオン出来たので
あった~!! もうあとちょっとだ~~。


剱岳バックカントリースキー!!(登攀篇)_a0353718_07223106.jpg
源次郎尾根の稜線の上に出ると、向こう側に聳える「八ッ峰」が
見えてきた!! 改めて近くで見ると、スゴい岩場である!!
ここまで来ると少し斜度が緩むので、AM君にお願いをして
「八ッ峰」の写真を撮ってもらったのであった~~。

いつかは僕達も、「八ッ峰」の縦走とかもやってみたい衝動に
かられてしまう・・・。山は一つ登ったら、またその先に行って
見たくなるモノなのである・・・。


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源次郎尾根の上のラストスパートをかけていく!!・・・。バックには
源次郎尾根Ⅱ峰の岩峰が、これまた一際カッコ良く見えていた~!!
この辺りでは、どこで写真を撮っても素晴しいアングルの写真になる。
そして、もう剱岳の山頂に手が届きそうになってきたのであった~。


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そして!、ついに!!、平蔵谷出合から3時間40分程の登攀で、
試練と憧れの「剱岳」の山頂に辿り着いたのであった~~!!
今回もヤリました~!!
山頂の「祠」は雪に埋まっていました・・・。そして、雪がたくさん
積もっていて剱岳の山頂は3005mぐらいになっていました~~。

剱岳山頂に到着したのは8:15頃。予定では5時間ほどの登攀で
10:00頃かな~と思っていたのだが、雪の状態が良くサクサク
と登れてしまって、久しぶりのクライム&ライドだったのだが
会心の登攀となったのであった~!! そして、剱岳山頂では
快晴の無風と最高のコンディション!! 達成感も素晴しくて、
もぅメッチャメチャ気持ちよかったのであった~!!



ここからは、「剱岳」山頂からの景色です~~。
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「立山、剱沢」方面・・・。真ん中の大きなボウル状の沢が「剱沢」である。
その向こうの少し左手の山並みが、立山の山々。その向こう側には
槍ヶ岳や穂高連峰、笠ヶ岳なども全部見えた。


剱岳バックカントリースキー!!(登攀篇)_a0353718_07233106.jpg
東向きの景色。白馬の「後立山連峰」の山々・・・。真ん中少し右側の
山が「針の木岳」。その左奥が「蓮華岳」だ(と思う・・・)。手前の下の
尾根は「真砂尾根」である・・・。


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そして!!、南向きの一番奥に、我らが「乗鞍岳」も、クッキリと
見えたのであった~~!! この僕たちの地元乗鞍岳の、優美な
曲線の山は、絶対に見間違わないな・・・。

そして、「剱岳」山頂から登ってきた大脱走ルンゼへと落ちていく
斜面のスキー滑降が始まる!! しかし山頂に着いたのは8:30頃
だったので、まだ斜面の雪が硬いままだったのだ。なので山頂で
少し雪が緩んでくるまでウェイティングをした・・・。風もほとんど
無く穏やかな最高の天気で本当に良かった・・・。

もう1回、滑走篇へ続く!



by springbk2 | 2019-05-12 07:48 | アウトドア | Comments(0)