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コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)

時は残酷。人生は残酷。

時の流れは止められない、戻せないしやり直せない。

あの時は、あの日々には、戻れない。二度と戻らない。

終わらない残酷な時間の螺旋。

延々と途方もない時間の螺旋に翻弄されて、戻れないまま取り残される。

小さく力強い無数の夢の光は擦り切れて輝きを失い、彷徨い漂うだけ。

そして足元から背景が歪んでいき、自分の中に孤独な悔恨が残るだけ。

鏡の中を覗き込みもう一人の自分を見る行為は、

無から生まれた瞬間に動き出した時を司るクロノスの業か・・・。


そんな無限の時の流れの中で翻弄される僕達チームスプリングバンクは、

夢を追う事に自分の人生を捧げる覚悟は出来ているのか?!・・・。

そんな想いと、不安と焦燥と、僅かな夢への期待を胸に、
また僕達はスキーを担いで山に向かって行ったのだった!・・・。

コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19304083.jpg
今回僕達チーム・スプリングバンクが向かったのは、やり残したライン、
夢だったライン!、冬期のジャンダルムへ登り上がって行く「コブ尾根」
を登攀して→ジャンダルムへ登頂!→コブ沢か扇沢のスキー滑走だ!!

赤いラインの稜線のスグ右の黒い峰がジャンダルムで、赤いラインが
コブ尾根登攀ラインである。この「コブ尾根」の登攀ラインは、残雪期に
登られているクライミングのヴァリエーションルートなのである!・・・。
このラインを登った先には、圧倒的な迫力でジャンダルムが聳えている
のである!! 今回はこのラインをパートナーであるNJさんが提案して
きたのだった!・・・。

ジャンダルム直下の沢は、三浦大介さんの「中部山岳スティープスキー」
にも掲載されていないラインで、コブ尾根をクライミングして→スキー
滑走に成功すれば、クライム&ライドとしては未だに記録されていない
のではないか?という魅惑の提案だったのである!!このクライミング
要素が強い極上のラインのBCスキーのラインの提案に、僕が乗らない
ワケにはいかないのである!・・・。そんなワケで、今回はクライミング
なので、NJさんと僕の2人だけのチームで、今回はこの「コブ尾根」へと
突っ込んで行ったのであった~!!


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19304685.jpg
またいつも通り真っ暗闇な深夜3:00に集合・・・。ゲートが閉まっている
釜トンネルからスキー板、ストック、スキーブーツやクライミングギア
一式を全てバックパックに取り付けて担ぎ、釜トンネルへと入って行った
のであった~・・・。

いつもながら思うのだが、スキー板にストック、スキーブーツ全部一式
とクライミングギアやロープをバックパックに取り付けて担ぐと、本当に
メッチャ重いのだ・・・。果たしてコレで穂高の稜線まで行けるのか?!と
いつも思ってしまうのである・・・。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19305009.jpg
真っ暗闇な上高地へと入り、河童橋を渡っていく・・・。もちろん僕達意外
には誰一人としていない・・・。真っ暗過ぎて、ヘッドライトを外すと何も
見えない。クマは出ないだろうなぁ?と、ちょっとだけ怖かった・・・。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19305353.jpg
上高地を過ぎて、岳沢登山口から入って行く。スキーブーツに履き替え、
スキー板にシールを付けてそのままスキーを履いて、登山道が埋まった
雪の斜面をガシガシと登って行った・・・。

しばらく林の中を登っていくと、雪崩のデブリで埋まった岳沢に到着した。
目の前には、圧倒的に大迫力な穂高連峰が目の前にド~ンと見えてきた!!
そして真っ暗闇が少しずつ明るくなってきて、ムラサキ色のトワイライト
な色合いに包まれたのであった~。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19310101.jpg
ムラサキ色なトワイライトな時間はスグに過ぎ去ってしまい、西穂高の
山頂に朝日が当たる頃には、だんだんと青い世界へと変わって行った!
そして、今回登攀するラインである「コブ尾根」が見えてきたのだった!
この時僕は心の中では、行けるのか?、行けないのか?!、と自問自答
を繰り返していたのであった・・・。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19310742.jpg
コブ沢の末端は、やはり雪崩のデブリでデブリーランドになっていた・・・。
そこでスキーのシール登攀を諦め、アイゼンにダブルアックスに換装して
コブ沢の急斜面へと入って行った。

このツアーでこの時間が一番寒かった。グローブ内で指先がシビレていた。
そして、NJさんの足元にもアクシデントが!・・・。しかし彼は、素晴らしい
リカバリー能力で、そのアクシデントを一瞬でクリアしていったのだった!
僕だったら→即敗退だったと思う・・・。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19311549.jpg
その後のコブ尾根への急斜面の登攀は、まるで無間地獄かと思うぐらい
に延々と続く登攀だった・・・。カチカチに硬い雪の急斜面で、アイゼンを
蹴り込んでアックスを差し込む!という行為を延々と繰り返していくの
である・・・。一瞬も気が抜けない。1ミスでも→即滑落という状況なので、
ずっと緊張しまくりなのであった・・・。そして一気に急斜面を登ってきた
ので、一気に息が上がってしまうのだった・・・。もぅ情けない程だった・・・。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19313121.jpg
そして、1時間以上もかかってやっとコブ尾根の尾根上に出られた・・・。
尾根の向こう側には、奥穂高岳~前穂高岳~明神岳の圧倒的な稜線が
見えてきたのであった~!!

いつもなら、この絶景が見えてくるとモチベーションMAXになるのだが、
今回は緊張しまくりで、そんな余裕はないぐらいの登攀だったのであった。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19313460.jpg
コブ尾根の稜線に出た僕達だったのだが、その後もずっとキノコ状の
巨大な雪庇に何度も悩まされた・・・。普段なら何も無く通過出来る場所に、
巨大なキノコ状の雪庇がドカッと乗っかっていて、どこが雪庇の上なのか
分からない状態もあり、コレを越えるのが非常に難しかったのであった・・・。
そしてこの写真のセクションでも、ロープを出してスノーボラードを作り
超恐怖の懸垂下降という技を繰り出して、何とか越えて行ったのであった・・・。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19314020.jpg
その後も急斜面の雪田は続いた。そしてドンドン斜度は急になっていった。
バックには前穂高岳~明神岳が輝いているのに感動しながらも、ミスが1つ
も許されない状況で緊張感MAXは続いた。非常にテクニカルな登攀だった。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19315284.jpg
そして、ついに!「コブ尾根」の名前の由来となっている「コブ」=岩峰に
ブチ当たった!・・・。この岩峰をクライミングで越えていくのである!!

クライミングと言えば、NJさんである! 彼のアルパインクライミング
の能力は計り知れない程なのだ!! 僕はと言えば、これまでの緊張感
MAXな登攀に加えてこの岩場クライミングで緊張感を越えて怖いぐらい
だったのだが、彼はそんなアルパイン的なクライミングが一番の得意技
なので、サクサクっと登って行ってスグに見えなくなってしまったので
あった~~。もぅ本当にさすがなのである!!


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19315501.jpg
コブ岩峰の2ピッチ目。NJさんはもう蒼天に突き抜けるようなクライミング
で登っていかれたのであった~!! いやぁ、本当にカッコイイというのは
下手な歌を歌って数人のグループでクネクネ踊る事じゃなくて、こう言う事
なんだよ!と思った・・・。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19315804.jpg
1ピッチ目をフォローで登ってきた僕である・・・。もう恐怖感MAXで
ヘロヘロになってしまっていた・・・。岩を、アイゼンのツメで登って
行く感覚が、どらぐらいで引っかかるのか?・・・どれぐらいで滑って
墜ちるのか?分からずで、慣れていないからメチャ怖かった・・・・。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19320189.jpg
2ピッチ目をフォローで登ってきた僕である・・・。コブの岩峰の一番上は
またもや大きなキノコ状の雪庇になっていて、非常に怖かった!!・・・。
僕の左側は雪庇になっていて断崖絶壁なのだ!! そしてもちろん右側も
遥か彼方まで垂直に落ちていて下が見えない状態なのだった・・・。なので、
ロープがあるけど、落ちたらタダでは済まないぐらいだ・・・。でも、この
状態で先へ先へと進んで行くしかないのだった。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19320945.jpg
そして、コブの岩峰を越えた先は、コルまで懸垂下降していくのだ!
残置のラペルポイントも雪に埋まっていたり、支点までの間でも雪が
多くて垂直に切れ墜ちていた!!・・・。なので、この場所でもロープを
使って四苦八苦して越えていったのであった~・・・。

今回の「コブ尾根」は、雪の状態が非常に悪くて、雪庇がまだ全然墜ちて
いない状態でとても難しいらしかった。僕のバックカントリースキーで、
最高に難しい登攀なのであった~・・・。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_20295102.jpg
コブの岩峰から→コルまでの僕の懸垂下降である・・・。雪の斜面を削って
作る支点のスノーボラードの懸垂下降がメチャクチャ怖かった!!・・・。


コブ尾根→ジャンダルムBCスキー!!(登攀編)_a0353718_19321468.jpg
そして、コブの岩峰を越えた先のコルに到着して、やっと少し平坦な場所
になったので、ココでやっと大休止をしたのであった~・・・。

ここから稜線のジャンダルムを見上げる・・・。稜線まであと3ピッチ程か・・・。

今回はココまで、非常に雪の状態が悪くて四苦八苦しながら登ってきたので
かなり時間がかかってしまっていた・・・。そして、画像の真ん中のコブ尾根の
登攀ラインである左斜面も全層で雪崩れていた・・・。斜面にはかなりクラック
も入っていた!・・・。そして僕達は、もうかなり疲弊していたのであった・・・。
そして、僕達はこれ以上リスクを負うのは危険だと判断して、ジャンダルムを
目の前にして途中敗退を決めたのだった~・・・。

今回はジャンダルムを目の前にして非常に残念なのだが、これ以上突っ込むと、
1ミスで即滑落の状況に耐えられるかどうか分からないという状況だったのだ。
僕達は、次の日のニュースで、「50代、男性、奥穂高岳で滑落、安否不明・・・」
にはなれない・・・。なので今回は、もうここからスキーで滑って帰ろうという
事になったのであった~・・・。

残念だが、今回は敗退!!・・・・

スキー滑走編へと、続く!!



by springbk2 | 2025-04-08 07:03 | アウトドア | Comments(0)